ラ・リーガは第6節、ビジャレアルはホームにバレンシアを迎えました。
試合はいぶし銀パレホ選手が決勝ミドルを決め、2-1でビジャレアルが勝利。
久保建英選手は63分から出場し、ビジャレアルでは最長となる32分間(AT5分間含む)プレーしました。パレホ選手の決勝ミドルをヒールパスでアシストしましたが、2枚のイエローカードをもらい退場。ただし、試合後に2枚目のイエローは取り消され、次節も出場可能です。
久保選手ですが日本代表での2試合を含め、ここ4試合は精彩を欠いています。
精彩を欠く理由を私なりに分析してみると原因は、
- 味方の選手との距離が近すぎる
- 思い切ったドリブルでの仕掛けができていない
この2点ではないかと思います。少し解説してみましょう。
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この記事の目次
- 味方の選手との距離が近すぎる
- 思い切ったドリブルでの仕掛けができていない
- 今後のビジャレアルと久保選手のライバルたち
- 最後に
1.味方の選手との距離が近すぎる
久保選手の良さのひとつは相手をドリブルではがせる(抜ける)ところで、試合中もそのプレーで調子をあげていきますが、ここ4試合はスペースでボールを受けられていません。
具体的には、味方の選手との距離が近すぎます。
これは、久保選手だけの問題ではないのですが、ビジャレアルは細かくパスをつないでボールをポゼッションするので、サイドの久保選手にボールがでてもドリブルするスペースが残されていません。さらに右SBのガスパール選手や中盤のパレホ選手、トリゲロス選手のフォローもはやく、久保選手がパスを選択するケースが増えています。
いつもの久保選手であればパスを選択してもワンツーや動きなおしてリターンをもらったりしますが、ここ数試合はあまりその動きがみられていません。
2.思い切ったドリブルでの仕掛けができていない
モレーノ選手がケガで2~3週間の離脱となり、久保選手の先発も考えられましたが、先発はチュクエゼ選手でした。ただ、この試合のチュクエゼ選手はモレーノ選手の不在を感じさせないプレーを見せてくれました。
チュクエゼ選手と久保選手の違いは思い切りの良さです。
プレーの正確性や献身性は久保選手の方が上ですが、チュクエゼ選手の思い切りの良いプレーは観ていてやはりおもしろい。現時点では、久保選手よりチュクエゼ選手を観たいと言わざるを得ません。
2人のドリブルの違いはタッチの長さです。
細かいタッチの久保選手に比べて、チュクエゼ選手はタッチが大きい。プレー自体も大味でミスも多いのですが、やはり仕掛ける姿勢がワクワクさせてくれます。
特に相手に“突っかける”ドリブルは、魅力的です。
“突っかける”とは、相手に向かってドリブルを仕掛けていくプレーです。
相手がボールを取りに来たら一瞬先にボールを前に運んだり、相手が引いたら中にカットインしたりと、自分から動き出すことで先手を取ることができます。
久保選手も本来は“突っかける”ドリブルが得意で昨季のマジョルカでの後半戦でもよく見せていましたが、ビジャレアルではあまりみられていません。もっともっとみたいプレーです。
3.今後のビジャレアルと久保選手のライバルたち
ビジャレアルは、この試合からFW・モレーノ選手と左SB・エストピニャン選手がケガで離脱。さらに、この試合後パレホ選手もケガをし、1カ月程度の離脱となる見込みです。
ただ、この試合では、その穴を埋めるチュクエゼ選手とペトラザ選手が十分な活躍をみせてくれました。久保選手のライバルである2列目のモイゴメス選手、トリゲロス選手も安定したプレーぶりで、まだまだ久保選手が入り込む余地はありません。
エメリ監督が、久保選手ではなくモイゴメス選手やトリゲロス選手をスタメンで起用する理由は、この2人があきらかに総合力で久保選手を上回っているからです。攻撃的なセンスだけをとれば久保選手が上でしょうが、中盤でのボール回し、守備、試合の流れをみての状況判断、そういった総合力では2人がまだまだ上のようです。
パレホ選手のケガでビジャレアルはここからの3~4試合が前半戦の正念場です。おそらく、中盤にコクラン選手を入れて、イボーラ選手とツーボランチ。トップ下にはトリゲロス選手をいれてくるのではないでしょうか。ここまで、パレホ選手が担っていた配球役は代われる選手がいないので、モイゴメス選手とトリゲロス選手が“水を運ぶ役目”をどれだけこなせるかが大きなポイントになってきます。
4.最後に
ビジャレアルのサッカーは観ていておもしろい。とてもいいチームです。この正念場を今の選手で乗り越えられれば、今季はCL出場権を争えるチームになるでしょう。
このチームなら間違いなく久保選手はさらに成長できると思います。スタメンを獲得し、バルサ戦やレアル戦、ヨーロッパリーグで活躍する姿をはやくみたい。
がんばれ、久保選手