everlemoned

サッカーと建築と日々の関心事を思いのままにつづるブログ

建築

【建設業と仕事観】19年間で構造設計・施工管理・内装設計の業務を経験してきた私が今思うことを書いてみました。

投稿日:2020年8月20日 更新日:

ビル

先日の記事建設業19年生であると書きました。

建設業のなかでも、構造設計、内装設計、施工管理といろいろな職種を経験してきましたが、絶対にこれが一番だというものには未だに出会っていません。おそらくこれからも出会わないのでしょう。

今日は、19年働いてきた建設業について、私が今思うことを書いてみます。

おそらく、今の建設業界に対して私と同じような意見を持っている人たちも多いのではないかと思いますし、これから建設業を目指そうとしている人たちに対しては、この記事の内容が少しでも参考になればと思っています。

    この記事の目次

  1. 建設業と仕事観
  2. 最後に




1.建設業と仕事観

一般的に建設業は、地域社会への貢献度が高くたくさんの人たちと建築物を作り上げていく仕事とのイメージを持たれているのではないでしょうか。「きつい」「きたない」「危険」の3Kで若い働き手がなく、職人の高齢化と技術継承の失敗が建設業の問題としてよく上げられる点です。

携わるものとしてこれを言うべきではないのかもしれませんが、日本の建設業はもっと本当にこの建築物を建てる必要があるのかどうかを考えるべきでしょう。

建築物は公共のものであれば税金で作られ、民間であれば当然、個人や集団の資産から費用が捻出されます。その資産から多大な利益を、儲けを建設業者が得るのはある意味無駄遣いではないでしょうか。

不思議なもので、建設業では同じ建物を建ててもどこが建てるかで利益の出方が大幅に違います。建設費が決まっている以上、その差で損をするのは、発注者と下請けです。本来、建設業は利益を得られる仕事ではないはずです。この差を企業努力と呼ぶことも多いですが、はたして本当にそうなのでしょうか。

来る日も来る日も問題を抱え、やっと終わらせたとしても、最後には必ずお金の交渉が待っており、一つの物件が気持ちよく終わっていくことはまずありません。私自身もそうですがが、おそらく、私より上の世代である50代もこのことは感じていて、若い世代に胸をはって建設業を薦められていない現状があるはずです。

高齢化や若い働き手がつかないのは、3Kという表面的な問題だけでなく、根本的に建設業における利益追求という矛盾に皆が薄々気づいてしまっているからでしょう。

個人的には、「働き方改革」をもっともすべき業界であると思いますが、工期の短縮が人件費を減らし、利益に直結してくる現状があるおかげで、その対象からも外れてしまっています。

あきらかに矛盾していると感じますが、適正な工期と建設コストをみなおし、建設業のなかでそれを標準化していかなければ、建設業での「働き方改革」はそうとう難しいでしょう。

利益追求ではなく、利益の出し方に透明性を持たせることができない限りは、建設業が今後、復活することはないでしょう。



2.最後に

かなり、マイナス思考で書いていますが、今は建設ラッシュで建てれば儲かったバブルの時代とは違います。これからの建設業は、適正な建設費用の線引きが明確にできなければ、グレーゾーンでの価格競争で誰かがしわ寄せを食う状況を変えられません。

ただ、実現はしないでしょう。

電子書籍といえば国内最大級のhonto電子書籍ストア!

-建築
-

執筆者:


コメントをもらえるとうれしいです。

関連記事

建設イラスト

建設業における監理技術者資格者証の更新はいつからできる? この記事では更新に必要な書類及び費用等を紹介します。

10/28の記事で建設業における「監理技術者」について書きました。 なんとその5日後に「監理技術者資格者証」交付申請書類が届きました。(笑) とてもタイムリーなので、同封書類、申請方法及び提出書類等を …

建設現場

【建設業と転職について思うこと+ちょこっと収入の話】建設業歴19年になった私が転職の経験と収入の話をしてみます。

私は建設業界で働き始めてから19年目になりました。その間、5回の転職をし、6社に勤めてきました。職種も設計事務所、住宅メーカー、ゼネコン、サブコンとさまざまです。 私が、これまでの経験から今の建設業に …

五島地図

【第3回 大好きな建築 鉄川与助「頭ヶ島天主堂」】日本では珍しい石造りの教会。環境との調和がとても美しい作品です。

みなさんは、鉄川与助という建築家を知っていますか? 私は、鉄川さんと同じ長崎県五島列島で育ち、同じ建築士をしています。しかし、恥ずかしながら鉄川さんのことは「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が …

角川武蔵野ミュージアム(1)

【第5回 大好きな建築 隈研吾「角川武蔵野ミュージアム」】花崗岩を仕上材に使用した外観は建築というより彫刻アート。

建築を仕事としている私が大好きな建築を紹介するシリーズの第5回です。今回は、隈研吾さんの「角川武蔵野ミュージアム」を紹介します。隈さんの建築と言えば、新国立競技場もそうですが、外観が軽快でシャープな印 …

建設現場

【一級建築施工管理技士試験】3回受験した私が学科・実地試験の難易度、合格に必要な学習時間、費用を解説します。

先日、建築士試験の難易度について書きました。 今回は、一級建築施工管理技士試験バージョンです。 主に以下の2点について話します。 合格にはどれくらいの学習時間が必要か 合格にはどれくらいの費用が必要か …

プロフィール

五島風景
山本 幸一
長崎県五島列島育ちの建築士です。43歳になり、日々がマンネリ化してくるなか、何か新しい行動を起こしたいと思い、ブログを始めました。少しずつ勉強し、サッカー・建築・関心事等をアウトプットしていきたいと思っています。

詳しいプロフィールはこちら