everlemoned

サッカーと建築と日々の関心事を思いのままにつづるブログ

建築

【第3回 大好きな建築 鉄川与助「頭ヶ島天主堂」】日本では珍しい石造りの教会。環境との調和がとても美しい作品です。

投稿日:2020年9月12日 更新日:

五島地図

みなさんは、鉄川与助という建築家を知っていますか?

私は、鉄川さんと同じ長崎県五島列島で育ち、同じ建築士をしています。しかし、恥ずかしながら鉄川さんのことは「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録されるまで知りませんでした。

去年ようやく、「頭ヶ島天主堂」を含め、上五島町の教会群を巡ることができました。今日は、鉄川さんの天主堂、教会を紹介してみます。このシリーズ第3回にして、ようやく写真(自分で撮った)を掲載できます。(第2回の記事はコチラ)

この建築の特徴は、この2点です。

  • 周辺敷地環境との絶妙な調和
  • 地元の五島石(砂岩)を積み上げた重厚な石造

以下に、「頭ヶ島天主堂」を少し詳しく紹介していきます。

    この記事の目次

  1. 第3回 大好きな建築 鉄川与助「頭ヶ島天主堂」
  2. 周辺敷地環境との絶妙な調和
  3. 地元の五島石(砂岩)を積み上げた重厚な石造
  4. その他の鉄川さんの教会を紹介
  5. 最後に




1.第3回 大好きな建築 鉄川与助「頭ヶ島天主堂」

教会

建築物概要
設計・施工 鉄川与助
竣工 1919年(大正8年)
建設地 長崎県南松浦郡新上五島町友住郷頭ヶ島638
構造 組積造(石造)平屋建て
延床面積 363㎡
用途 天主堂(国指定重要文化財)

この建築物の特徴

冒頭でも書きましたが、この建築の特徴は、以下の2つ。

  • 周辺敷地環境との絶妙な調和
  • 地元の五島石(砂岩)を積み上げた重厚な石造

2.周辺敷地環境との絶妙な調和

私が頭ヶ島を訪れた日は見事な晴天。バスを降りると、目の前は白い砂浜と青い海。そこから、登り坂を2、3分歩くと天主堂に着きます。正面石階段下から見上げる天主堂は、バックに鮮やかな緑の森林と青い空、白い雲を従え、小さいながらも重厚感にあふれ、堂々とした姿で建っています。

これぞまさに絶景です。

周辺の敷地環境を含め、重要文化財に指定されていることも納得です。時を重ねてきた石の風化による建物全体の質感が、より周辺の森林に溶け込んでいて、一体感を演出しています。おそらく、この一体感は四季それぞれで違ったものになるでしょう。

今回は、夏でしたが、次回はぜひ秋の姿がみてみたいです。

3.地元の五島石(砂岩)を積み上げた重厚な石造

教会

この小さな建物が醸し出す圧倒的な重厚感。建物周囲をぐるぐる回りながら、原因を探りました。「目地」です。幅広で深い目地がこの重厚感を演出しています。昔から地震の多い日本では、耐震性に劣る石造りはあまり用いられません。みなさん、海外に行き、異文化を感じる一つの要因に石造りがありますよね?私も学生時代に行ったベネチア、フィレンツェでの石造りの衝撃が忘れられません。

この頭ヶ島天主堂、大げさではなく、その異文化感を感じさせてくれます。室内に入ると、その重厚感とはまったくの正反対。シンプルで軽快な空間です。ヴォールト天井で空間を広くみせ、縦長窓で自然採光を室内の奥まで取り込んでいます。外部と内部の対比もこの建物の特徴のひとつです。

4.その他の鉄川さんの教会を紹介

冷水教会
竣工 1907年(明治40年)
鉄川さんが最初に建てた教会です。

教会

青砂ヶ浦天主堂(国指定重要文化財)
竣工 1910年(明治43年)
鮮やかな赤レンガのファザードに圧倒されます。

教会

大曽天主堂(県指定有形文化財)
竣工 1916年(大正5年)
正面の塔が象徴的です。

教会

五島うどん
おいしいです。ぜひ

五島うどん

5.最後に

今回の記事では、「頭ヶ島天主堂」を紹介しました。私の故郷ではありますが、秘境に近いかもしれません(笑)。ただ、夏に海やおいしいものを食べながら、この教会を含めた世界遺産群を巡るのは、とてもオススメですよ。

みなさん、ぜひ検討してみて下さいね。

電子書籍といえば国内最大級のhonto電子書籍ストア!

-建築
-

執筆者:


コメントをもらえるとうれしいです。

関連記事

メモ

建築士に対する定期講習受講義務。原則3年以内ごとに登録講習機関が行う定期講習の受講が義務付けられています。

今回の記事では、建築士の定期講習について紹介します。 定期講習の受講対象者、受講期間、受講費用は下記です。 受講対象者: 建築士事務所に所属する一級建築士、二級建築士および木造建築士 受講期間: 原則 …

ビル

【建設業と仕事観】19年間で構造設計・施工管理・内装設計の業務を経験してきた私が今思うことを書いてみました。

先日の記事で建設業19年生であると書きました。 建設業のなかでも、構造設計、内装設計、施工管理といろいろな職種を経験してきましたが、絶対にこれが一番だというものには未だに出会っていません。おそらくこれ …

トンネル

建設業界の【談合】は本当に必要悪なのか?その是非を問う池井戸潤原作ヒューマンドラマ【鉄の骨】を紹介

これまでも建設業について私が感じていることをいくつか記事に書いてきました。今回は談合です。昔から建設業での談合は、よくニュースになっていますよね。最近では、大手ゼネコン4社によるリニア中央新幹線の駅工 …

ビル

【構造設計の仕事内容】業務経験が10年の私が仕事内容、収入、労働時間及び将来性などを具体的に紹介します。

建設業には多種多様な職種があります。みなさんはそのなかでも「構造設計」という職種があるのをご存じでしょうか? 構造設計は、建物の構造体(柱・梁・壁・床等)が積載荷重、地震荷重、風荷重等に対して安全とな …

スモッグ

省エネ適合性判定講習を受講しました。法律に基づき建物が各種の省エネ基準に適合しているかを確認するのが仕事です。

これまでの記事で、建築士定期講習、管理建築士講習、監理技術者講習等を紹介してきました。今回は、省エネ適合性判定の講習会を受講してきたので内容を詳しく解説していきます。とはいっても、省エネ適合性判定って …

プロフィール

五島風景
山本 幸一
長崎県五島列島育ちの建築士です。43歳になり、日々がマンネリ化してくるなか、何か新しい行動を起こしたいと思い、ブログを始めました。少しずつ勉強し、サッカー・建築・関心事等をアウトプットしていきたいと思っています。

詳しいプロフィールはこちら