これまでの記事で、建設業における監理技術者や住宅性能評価員、省エネ適合性判定員などを紹介してきました。今回は東京都の防災ボランティア制度に基づく応急危険度判定員を紹介します。私も平成16年より登録していたので、受講資格、講習内容とスケジュール、主な業務内容などを解説します。
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応急危険度判定員を要約すると、地震後の建築物の状態をチェックする建築士のことで、チェックの目的は.建築物の倒壊等による二次災害を防ぐことです。
それでは、以下に詳しく解説していきます。
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この記事の目次
- 被災建築物応急危険度判定とは?
- 応急危険度判定員になるには?
- 応急危険度判定員の業務
- 最後に
1.被災建築物応急危険度判定とは?
まず、被災建築物応急危険度判定と応急危険度判定員の定義について、東京都の応急危険度判定員手帳から引用して解説します。
- 被災建築物応急危険度判定(以下、「判定」という)」
余震等による被災建築物の倒壊、部材の落下等から生ずる二次災害を防止し、住民の安全の確保を図るため、建築物等の被害状況を調査し、余震等による二次災害発生の危険の程度の判定・表示等を行うことをいう。 - 応急危険度判定員(以下、「判定員」という)
前項の判定業務に従事する者として別に定めた東京都災害ボランティアに関する要綱に規定するもので都知事が定める者をいう。
※引用元:応急危険度判定員手帳(東京都)
2.応急危険度判定員になるには?
東京都都市整備局が行う講習会を受講し、東京都防災ボランティア制度の応急危険度判定員として登録します。以下に受講資格、講習内容、スケジュールを紹介します。
受講資格
- 建築士(建築士法第2条に規定する1級、2級、木造建築士)の資格を有する者
講習内容
- 東京都の防災対策について
- 応急危険度判定制度について
- 応急危険度判定技術について
講習会スケジュール
- 13:30~17:00
受講料
- 無料
登録の更新
- 登録後7年に1度更新手続きが必要
3.応急危険度判定員の業務
被災地において、建築物の外観検査を行い、「危険」(赤色)・「要注意」(黄色)・「調査済」(緑色)の3種類のステッカーを建物の見やすい位置に貼って表示し、所有者、使用者、周辺の歩行者等に周知するのが主な業務です。
検査は木造、鉄骨造、鉄筋又は鉄骨鉄筋コンクリート造それぞれの応急危険度判定調査表を用いて行います。各ステッカーの示す建築物の状態は以下となります。
- 「危険」(赤色):その建築物に立ち入らないこと
- 「要注意」(黄色):その建築物への立ち入りには十分注意すること
- 「調査済」(緑色):その建築物は使用可能
4.最後に
東京都都市整備局のホームページを確認してみると、平成30年時点で13,100人の建築士の方が応急危険度判定員として登録されています。ちなみに私が登録した平成16年時点では7,500人でしたので倍近くになっています。
地域の防災や安全性を確保するのは、建築士の職責のひとつでもありますので、まだ、登録されていない方で興味のある方はぜひ講習を受講していだだきたいと思います。
私は8年ほど東京を離れていたため、登録の更新をしていませんが、また来年度に受講して再登録しようと思います。