建設業には多種多様な職種があります。みなさんはそのなかでも「構造設計」という職種があるのをご存じでしょうか?
構造設計は、建物の構造体(柱・梁・壁・床等)が積載荷重、地震荷重、風荷重等に対して安全となるように、その寸法を構造計算により算出し、構造図に反映させる仕事です。
私は、この構造設計の業務に10年間従事していました。
今日は、その経験から構造設計とは具体的にどんな仕事内容なのかを紹介してみます。
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この記事の目次
- 構造設計の主な業務内容
- 1人前になるにはどのくらいかかる?
- 収入は?労働時間は?
- 将来性は?
- 最後に
1.構造設計の主な業務内容
主な業務内容は、下記の3つです。
- 構造計算書作成
- 構造図作成
- 建築確認申請、構造計算適合性判定の質疑応答
2.1 構造計算書作成
建物規模や形状、場所に応じて、自重や積載荷重、地震や風、雪などの外力に対して、建物の安全性を確保するため、適切な柱・梁・壁・床等の構造体の大きさ等を構造計算をもとに決定していく業務です。
2.2 構造図作成
構造計算によって決定した構造体の大きさで、床伏図、軸組図、部材リスト、詳細図等の図面を作成していく業務です。意匠や設備との調整作業も入ってきます。
2.3 建築確認申請、構造計算適合性判定の質疑応答
構造計算書、構造図を行政や指定確認検査機関に設計図書として提出し、法に適合しているかの審査を受けます。その際の質疑や指摘に対する回答及び設計図書の修正を行う業務です。
2.1人前になるにはどのくらいかかる?
- 構造図作成 3年
- 構造計算書作成 5年(構造図作成期間も含む)
建物規模にもよりますが、10階建鉄筋コンクリート造マンションであれば、一人ですべての業務をこなせるようになるのに、3~5年はかかります。
3.収入は?労働時間は?
私の場合、3社にまたがっていますが、年収、労働時間はこんな感じでした。
- 1 ~ 2年目 350万円 主にアシスタント業務
- 2 ~ 5年目 400万円 低層建物の構造計算及び構造図作成、質疑応答
- 6 ~ 7年目 450万円 中層建物の構造計算及び構造図作成、質疑応答
- 8~10年目 600万円 高層建物の構造計算及び構造図作成、質疑応答
- 労働時間 月220~250時間程度
4.将来性は?
建築における設計者の割合は、意匠6割、構造3割、設備1割程度です。これからも大きく変動することはないでしょう。ほとんどの建物に構造設計が必要ですので、これからも需要のありつづける仕事です。
また、構造設計はスキルをみがき経験を積めば、ひとりでも仕事をしていくことできます。将来、独立を目指す方にもオススメです。
5.最後に
私は構造設計の他にも、住宅メーカーで木造注文住宅の設計施工、地場ゼネコンでRC造施工管理、サブコンで防音内装工事の設計施工を経験してきました。
それぞれの仕事内容についても、またの機会に紹介していきたいと思います。